2010-10-27

佐藤雅彦ディレクション
『”これも自分と認めざるをえない”展』 を体験してきた
その1


 この展示会は高い関心をもっていたけれど、なかなかタイミングと勢いが出ずにズルズルと会期終了間際になっていました。前日に開催された佐藤雅彦さんのトークショーと特別講義を聞いて、非常に刺激を受けて、これは展示会を見ておかないと、と思って、次の日、たまたまタイミングがあった事と雨が振っていて入場者も少ないかもと、少し期待をして、覗いてきました。実際は、覗いたというよりも、午後まるまる使って、見倒してきたというのが正解なぐらい、楽しく、刺激的で、知的なニヤケをさせるような、そんな展示会でした。

まずは、全体を体験しての感想

 やはり、自分の好みがあって、ちょっとよく分からないものもあったけれど、全般的に見たり、体験したりして、ネタばらしの解説を読んで、ヤラれた~、って事が多かったと思います。そして、解説を踏まえた上で、再度展示に戻ってみると、確かにそうで、そして、新たに感動というか、感銘のようなものを感じました。

 このネタばらしというのが、僕は結構好きで、現代美術と呼ばれる分野の展示会では、それを読む事が前提となっているような気がします。逆に、それを読まないと、よく分からない、というのが正直なところ。作品だけをみて、自分なりに、そういう事か~、と思えるような”眼”がほしいものだなぁ、と思いつつも、大体の所が、よく分からない作品がほとんど。解説を読むという楽しみ方もありだと思うけど、解説なしでも楽しめるような感覚が欲しいものです。

 それと、こういう少し考えないと楽しめない展示会の場合、観ているお客さんの反応も興味深いものがあります。特に、今回は属性がテーマになっていて、そういう意識があったのからなのだろうけど。体験型の作品で、整理券が出ないものは1時間とか、待たないといけない。その時の各自の時間の潰し方とか、立ち姿とか、そういうのを改めて意識して見てみると、各自それぞれ個性があるものだと思いました。壁にもたれたり、脚をクロスさせたり、ひたすら友達としゃべっていたり、僕みたいにケータイを見つめていたり。

 少し残念だなと思ったのは、学生さんの一団に遭遇したわけですが、彼らの大声での感想が、非常に浅いなぁ、と感じた事。『指紋の池』を見て、「キモ!」とか、「ナニコレ!ナニコレ!」って、興味を持つのはいいのだけど、DQNってこういう態度のことか…、と悲しくなりました。哲学的になれとは言わないけれど、もう少し深く考えてほしいな。反応が脳まで行かずに、眼球で返って来ているような反応は、見ていて将来が不安になりました。これは少し余談。

 さて、個々の作品の感想を以下に。


0.展示会を楽しむための4つの準備
 名前、身長/体重(数値は表示されません)、虹彩、腕の動きを登録します。
 名前とか、身長とかを登録するのですが、OK/キャンセルのインターフェースボタンもシンプルになっていて、これも一つの作品のように見えました。この説明だったか、「本名を使うと、より結果にグッと来ます」との表現が、面白いなぁと思いました。確かに、本名を使うとグッと来ました。


1.指紋の池
 自分の指紋を画面に放流するインスタレーション。
 これは事前に何かの記事で、「一度池に放たれると、どれが自分の指紋か分からなくなるが、もう一度呼びだすと、指紋の群れの中から、自分の指紋が戻ってくる」というような説明を読んで、この展示会の趣旨をよく表しているなぁ、思いました。そして、そのイメージが記事だけで浮かんできて、これは、キテる作品だなぁ、と思ったわけですが、実際は、指紋の放流場所と離れた場所に群れが移動していて、ひょこひょこ頑張って泳いても、群れには届かず、とりあえず回収しました。少し期待が高かっただけに残念でした。


2.足形付土版
 どこかで発掘された子供の足形を付けた土版の展示。
 これはこれで意味があるし、そういう子供の足形をとっていた歴史を考えると、感慨深いものなのに、展示されている場所がちょっと悪い。特に、『属性のゲート』が混んでいると、人にまぎれて気がつかない人も多いんじゃないだろうか。地味だけど、こういうのにも興味を持って欲しいなぁ、と思いました。

3.属性のゲート
 カメラで体験者の顔を認識して、どう認識されたか結果に応じたゲートが開きます。3つの分岐があります。
 これは自分で体験するよりも、体験している人をずっと見ている説明員の方が楽しんでいるかも。技術的な内容が分かっている人は、機械に挑戦するような事をやっているし、笑顔をする人は、日本人には少ないし、自分の意図と違う反応があった時の、体験者の反応も面白いと思う。画像処理のレスポンスが悪いのか、ゲートが動くまでに時間がかかり、その時間が不安になっている人が多かったようです。認識中を示す表示なり、音なりがあった方が、ストレスなく対応出来たかも知れません。


4.Exactitudes
 パッと見で似た雰囲気の9人が1グループとして、かなりのグループの写真が壁に展示してあって、横に置いてある、グループ名のプレートを見て、そのグループが何のグループを見て、「分かる分かる~!」っていう感じのインスタレーション。
 解説をしっかりと読んでいないので、この各9人に対して、意図的なコーディネイトが入っているのか、不明ですが、まとまった9人が、あまりにも同列的で、ちょっと楽しめませんでした。

5.属性の積算
 身長を測る、体重を計る、という2段階を踏むことで、情報を絞り込んで個人を特定していく。そして、その絞り込みの過程を映像として表示するインスタレーション。
 初見、身長の計測と影の認識をしているカメラは同じものかと思っていたのですが、身長は別のカメラで計測しているようです。認識された個人はリアルタイムで、体験者の影の上に映像として表示されるのですが、情報の認識結果が少しずつ表示されていくので、その間は、動いちゃダメと思う人が多いようで、じっとしている方が多かったです。僕は試しに、その表示されつつある状態で動いてみたのですが、上手くトラッキングしているようでした。こういう反応をみると、情報の提示の仕方による、人間の行動の制御って難しいなぁと感じました。

 この作品は最初に登録した名前が表示されるのですが、登録の名前をハンドルネームのようにされている人も多く、中には笑いを誘うものもあり、その名前が自分に表示されることにテンションが上がっている前述の若い人達…、そういう反応をみて、辟易しました。

6.座席番号 G-19
 小さな入り口から入ると、結構広いスペースに映画館の椅子が一脚、後ろの壁には座席図とそのシートの位置らしき強調。座ると映像が開始され、映画館の様子が写り、人々が着席していく。映像をベースにしたインスタレーション。
 整理券が配られていて、人数制限がありました。特に解説文がなく、説明員の方に確認しても、直接の解説はなかったです。カタログに答えはあったのですが、2度目でも分からず。一番モヤモヤした感じを残す作品だと思います。解説を見ると、自分の属性に対する挑戦のようなものを感じましたが、確かに、これは分からなかった。「でしょ?」って作者に言われるような。


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一旦ここまで。以下の作品は後ほど。思った以上に書けるものだ…w。



7.覗かれ穴
8.Outline to go
9.lost property わすれもの
10.休憩所
11.ふるまいに宿る属性
12.頭の中の散らばり方
13.金魚が先か、自分が先か
14.心音移入
15.1組・2組・3組・4組
16.After Image
17.Home of the Heart I
18.2048
19.MICHELLE: FIND THIS MAN
20.トポグラフィカル・アナロジー
21.新しい過去
22.佐藤雅彦さんに手紙を書こう




      

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